スペイン バルセロナ カサ・ビセンス:魅力・見どころ・アクセス方法・基本情報まで徹底ナビ!
- 私の旅行記
- 2020年12月10日
- 読了時間: 12分

こちらは、世界的建築家「アントニオ・ガウディ」が作った最初の家として知られる「カサ・ビセンス」です!
「カサ・ビセンス」は、「カサ・ミラ」や「カサ・バトリョ」のようなバルセロナのメイン通りにあるのと違い、細い路地が続く庶民的なグラシア地区の中にひっそりと佇んでいます。他の「ガウディ作品」と違い、長年個人の住居として使用されていたこともあり、これまで一般開放されておらず訪れる人もほとんどありませんでしたが、2017年11月に見学できるようになりました。
今回はそんな、「カサ・ビセンス」の魅力・見どころ・アクセス方法・基本情報まで詳しくご紹介させていただきます!
【カサ・ビセンス:基本情報】
〖歴史・概要〗

「カサ・ビセンス」は、当時まだ建築資格を取って5年目、31歳だった「アントニオ・ガウディ」にとって初めて設計・建築を手掛けた、個人宅の建築プロジェクトでした。依頼人はレンガやタイル製造業者の社長であった「マヌエル・ビセンス」で、その家族の夏の別荘として建設され、直線的な構造を多用した物で他の作品と比べイメージが大きく違う異色のガウディ建築です。
依頼から2年後の1880年に「ガウディ」は設計を仕上げましたが、依頼主「ビセンス」の金銭的な事情などもあり、工事着工は1883年、完成したのは1888年の事でした。1925年になると物件所有者の変更に伴い、「カサ・ビセンス」の拡張化計画が持ち上がります。
この時に建築依頼を受けた「ガウディ」は、「サグラダファミリア」のプロジェクトで手一杯だったため、代わりに友人の建築家「ホアン バプティスタ セラ デ マルティネス」を依頼主に紹介します。「マルティネス」は、「ガウディ」のコンセプトを最大限に尊重しながら、「カサ・ビセンス」の拡張工事を完成させました。

1984年には〖ユネスコ世界遺産〗にも登録されており、建築様式はバルセロナの他の建物「ラス・アレナス闘牛場(現ショッピングモール)」などでも見ることができる、当時に流行したネオムデイハル様式の影響を強く受けた作品となっています。
そして2014年に、「MORABANK(モラバンク)」という銀行系グループが一般公開を目的に「カサ・ビセンス」の所有権を取得。それから約3年ほどの改修期間を経た2017年11月、遂に「カサ・ビセンス」の一般公開がスタートし、「カサ・ビセンス」は現在、入場チケットを購入すれば、誰でも館内の見学が可能となっています。
〖住所〗
Carrer de les Carolines, 20-26, 08012 Barcelona,
〖電話番号〗
+34932711064
〖アクセス〗
「カサ・ビセンス」は、バルセロナの中でもやや北西側に位置する「グラシア地区」というエリアにあり、観光スポットが集中するエリアからは少し離れています。
そのため、バルセロナの中心部から「カサ・ビセンス」にアクセスする場合は、「地下鉄」を利用するのが一般的。地下鉄の「L3」線の「Fontana 駅 」で降りて徒歩3分(250m)ほど、「Lesseps 駅」で降りて徒歩4分(280m)ほどの場所にあります。
〖入場料金〗

大人:16ユーロ/学生(12-25歳):14ユーロ/障碍者の方:14ユーロ/子供(11歳以下):無料
※毎週月曜日は10ユーロ(約1,200円)
※ガイドツアーに参加する場合はプラスで4ユーロとなりますが、日本語のガイドツアー はありませんので自由見学が基本になります。
【チケット予約方法(公式サイト)】

公式サイトのシステムや造りはしっかりとしているため、英語サイトでの予約に慣れている方であれば簡単に予約することができます!まず公式サイトにアクセスしたら、いくつかチケットの種類が並んでいるのですが、自由見学の最も一般的なチケットは「Casa Vicens Visit」になります。ガイドと回るガイドツアーなどもありますが、日本語には対応していないため、自由見学のチケット予約がおすすめです!

赤いボタン「BUY TICKETS」をクリックすると、チケットが選択できます。その後、予約日時、予約人数、予約者情報などを入力して、クレジットカード決済(JCBも可)が完了すれば予約完了です。

予約完了後は、メールアドレスに「PDFファイルのチケット」が添付されてきますので、観光当日は、このプリントアウトした「チケット」を提示すれば、「カサ・ビセンス」に入場して観光をスタートできます。
※チケットをスマートフォンの画面上で提示する「モバイルバウチャー」にも対応していますが、万が一のためにもチケットをプリントアウトしていくことをおすすめします!
【現地チケットオフィスでの購入方法】

「カサ・ビセンス」の入口は建物の南側「カルリネス通り」に面しており、ここから敷地内に入ると細い通路が続いています。通路の突き当たりを左手に曲がるとチケットオフィス入口があり、正面にはチケット確認係がいます。
事前に公式サイトやオプショナルツアーサイトでチケットを予約済(購入済)の方は、正面の係員にチケットを提示して、後は自由に見学をスタートします。ただし、「フロアマップ(英語)」などはチケットオフィス内のインフォメーションで配布されていますので、必要な方は入手した上で観光をスタートしましょう!
当日にチケットを購入される方は、左手側の入口からチケットオフィスに入り、チケットを購入します。チケットオフィスは、オシャレなカフェの様な雰囲気で、ここでチケットを購入したら、外の係員にチケットを提示して観光をスタートしていきます。
【チケットの手配が不安な方はツアーが便利!】

日本語が使えないサイトでのチケット予約は、不安がつきものですよね。希望の日時にきちんと予約が取れているか、予約したチケットに不具合がないか、当日まで不安な気持ちで過ごされる方もいらっしゃると思います。
チケットの予約が移動が不安な方はオプショナルツアーへの参加がおすすめ!自分の旅程にあったツアーを日本語で予約できますし、お問い合わせなども日本語で行えるので、旅前の不安もしっかり解消できます。
チケットの予約や移動の手配も全てお任せすることができるので、当日は観光だけに集中して旅行を楽しむことができます。また、現地の情報に精通したガイドが案内するため、観光スポットを効率よく回ることができます。➡
〖営業時間〗
【10月1日〜3月31日】:
月曜日:10時00分〜15時00分
火曜日~日曜日:10時00分〜19時00分
【4月1日〜9月30日】:
月曜日~日曜日:10時00分〜20時00分
※最終入場は営業時間の1時間20分前までになります。
〖休館日〗
1月6日・1月13日〜19日・12月25日、
〖公式サイト〗
【カサ・ビセンス:観光順路】

「カサ・ビセンス」は、地下を入れると全部で5階層で構成されています。見学順路は、「庭園」からスタートし、地上階にあたる「0階」・「1階」・「2階」・「屋上」の順で観光していきます。屋上見学後は、階段またはエスカレーターで「ギフトショップ」と「出口」がある「地下1階」に降りて見学終了になります。
【カサ・ビセンス:魅力・見どころ!】
〖外観〗

「カサ・ビセンス」のデザインは、他の「ガウディ」作品をご存知の方には、間違いなく違和感を感じると思います。まず一つ目は、「サグラダ・ファミリア」を初め、「カサ・ミラ」で見られる徹底的に直線を排したデザインからすると、「カサ・ビセンス」では反対に直線を基調とした外観をしています。「ガウディ」自身が生前に言っていた言葉としてよく引用される「自然界には直線は存在しない。」それからすると辻褄が合わない訳ですが、それすなわち「カサ・ビセンス」の制作後に「ガウディ」が更に進化、そして彼が求めていた真理に到達したと言うことになります。

また、「ムディハル様式」を模したと言われる部分も、その当時の建築家たちがよく使った言わばありきたりの手法でそれ自体は特筆するものは何もありません。また、その後に「自然が作りあげたものこそ美しい。私たちはそこから発見するだけ。」と言った「ガウディ」の言葉とはこれも合致せず。そういう意味で私たちが知っている天才「ガウディ」、彼が後年大きく花開くその前、成長過程の初期の作品と言うのがよくわかる建物なのです。

そしてもう一つ、他の「ガウディ」作品との大きな違いとして、岩石風の壁にタイルが一部張り付けられていますが、これは「ガウディ」建築の定番と言える「トレンカディス(破砕タイル)」ではなく、同じ大きさ同じ柄のタイルで構成されています。また、濃い朱色のように塗られたレンガの部分は少し雑にも見え、「ガウディ」の最初の作品ということもあるのでしょうが、これも「ガウディ」らしさがあまり感じられません。そんな中で敢えてこの「カサ・ビセンス」で「ガウディ」らしさを探すとするなら、「グエル公園」の正門にも見られるシュウロの「鋳鉄の門」が唯一と言えるのかもしれません。
〖庭園と0階(日本では1階)〗

入場して、誰もが最初に目にするのが緑豊かな「庭園(The garden)」になります。「カサ・ビセンス」の「庭園」は、完成当初の19世紀頃と比較すると最も大きく変わった場所の一つ。かつては、円形の「噴水」や「櫓(やぐら)」などもありましたが、住宅が売却されたタイミングで取り壊されてしまいました。それでも、2014年からスタートした改修工事によって、当時の景観は可能な限り再現されています。

また「庭園」では、「カサ・ビセンス」の外観・装飾を様々な角度から撮影することができ、一角には「カフェ」も併設されていますので、観光終了後はこのカフェからゆっくりと「カサ・ビセンス」の外観・装飾を楽しんでみてください!
そして、「庭園」をさらに奥に進んで行くと、館内への入口があります。この入口はかつて「玄関の窓」でしたが、1925年の拡張工事に伴い「玄関のドア」に改修されました。入口右手の鉄格子は「ヤシの葉の門(The fan palm grille)」と名付けられており、「ガウディ」と非常に親交が深かった彫刻家「ロレンソ・マタマラ」の作品になります。元々この門は、正面玄関にアクセスするための出入り口として設置され、後年は敷地全体を囲う様に置かれていました。現在は、建物の南側のみに設置されています。

館内に入場し、「エントランスホール」を通って奥に進むと「ダイニングルーム(The dining room)」があります。部屋の中央には暖炉が置かれ、家具は全て取り外しができない「作り付け」になっており、部屋内には全て同じバルセロナ画家による34点の油彩画も飾られています。

「ダイニングルーム」を抜けて奥に進んで行くと「喫煙ルーム(Smoking room)」に出るのですが、こちらの部屋の色彩タイルの装飾は要チェック!部屋内の色彩タイル装飾は、オリジナルに忠実に復元されたもので、壁面の青と黄色の一松模様タイルにはマリーゴールドがあしらわれています。また、壁面の建築素材の一部には、18世紀頃からヨーロッパを中心に使用されていた「パピエマシェ」が使用されています。

そして、「喫煙ルーム」を見学した後は、階段を登り「1階(日本の2階)」に上がりましょう!こちらの階段もガウディ中期以降の建築作品と比べると、デザインがまだ直線的なのがわかります。
〖1階(日本では2階)〗

「カサ・ビセンス」の1階で最も広いスペースを占有するのが、同フロア中央に位置する「寝室(The bedrooms)」。奥の「テラス」からは太陽光が降り注ぎ、寝室の壁面上部には植物模様があしらわれ、床の壁面はローマンモザイクで覆われています。

「テラス(The terrace)」は、「寝室」の奥の扉から行くことができ、「テラス」外側の壁面に沿って、金網の柵と一体になった木製のベンチが配置されています。「テラス」は敷地内の植物を観察したり、一息つくのに持ってこいの場所です。

そして「寝室」の隣には「丸天井の部屋(The domed room)」と呼ばれる部屋があり、こちらには大きな「天井画」が描かれています。この「天井画」は立体的に見えますが、実際は完全に平面で「トロンプ・ルイユ」と呼ばれるだまし絵の手法が用いられています。

「丸天井の部屋」の隣には、隙間がないほどの植物模様が見事な「青い部屋(The blue room)」があります。ここは生活空間となっており、「寝室」を初め「浴室」などがあります。ちなみに、一番広い「寝室」の床のモザイクや壁の絵が左右別になっているのは夫婦の寝室が別々だったためです。

尚、よく勘違いされることですが、夫婦仲が悪く別室になっていたと言う訳でなく、当時は夫婦の寝室がそれぞれ別なのが当たり前の時代背景によるものです。また、このフロアには1階の男部屋の代わりと言うべき女性部屋がありますが、それぞれの違いを見比べてみるのも面白いでしょう。
〖2階(日本では3階)〗

「カサ・ビセンス」の2階は、「屋根裏部屋」となっており、元々は使用人のための部屋でしたが、現在はオープンスペースで「常設展示」が行われています。展示内では、「カサ・ビセンス」で行われた改築工事や建築の歴史はもちろん、装飾に用いられている技法や素材についても知ることができます。
※ここで展示されてものは全てコピーで、オリジナルは別の場所で保管されています。

「カサ・ビセンス」の歴史を解説付きのパネルで紹介しているコーナーでは、完成直後からの建築の変換や修復過程が詳しく解説されており、建設当時の模型からは今は無い門などがあり、現在の倍以上の広さだったことが分かります。

また、実際に「カサ・ビセンス」の室内や外壁に用いられている装飾タイルの展示コーナーもあり、同時期に「ガウディ」が建設を担当していた「エル・カプリチョ」でも同様のものを見ることができます。
〖屋上〗

建物内の見学の最後は、階段を登り切った上にある「屋上」になります。「屋上」は「展望フロア」となっており、その半分は入ることは出来ませんが残りの部分を見て回ることができます。

通路内側の壁は暖かみのある赤色で、外側の黄色と緑のタイル装飾をコントラストで際立たせています。屋上通路の角や屋根付近に建つドーム付きの塔は、アラブや東洋建築の影響が強く見られます。
〖ギフトショップ〗

出口に向かう際には、必ず併設の「ギフトショップ」も通過するのですが、「カサ・ビセンス」の「ギフトショップ」は、お土産屋さんというよりは、シャレた雑貨屋という雰囲気。「カサ・ビセンス」ならではと言うものはほとんど何もなく、デザインされた小物などは市内の他のショップで売られている物ばかりですので、あまり時間をかける必要はないかと思います。

いかがでしたでしょうか。
「カサ・ビセンス」は2017年に一般見学が可能になったばかりの見学スポットで、日本のガイドブックなどでもさらっと紹介されている程度なため、「ガウディ」の作品の中では知名度は低めではあります。
しかし、最初期に手がけられたこの「カサ・ビセンス」は「ガウディ」の原点とも言える貴重な作品ですので、是非とも「サグラダ・ファミリア」や「グエル公園」などと合わせて「カサ・ビセンス」にも足を運んでみてください!
【基本情報】
カサ・ビセンス
住所:Carrer de les Carolines, 20-26, 08012 Barcelona,
電話番号:+34932711064
アクセス:
「カサ・ビセンス」は、バルセロナの中でもやや北西側に位置する「グラシア地区」というエリアにあり、観光スポットが集中するエリアからは少し離れています。そのため、バルセロナの中心部から「カサ・ビセンス」にアクセスする場合は、「地下鉄」を利用するのが一般的。地下鉄の「L3」線の「Fontana 駅 」で降りて徒歩3分(250m)ほど、「Lesseps 駅」で降りて徒歩4分(280m)ほどの場所にあります。
入場料金:
大人:16ユーロ/学生(12-25歳):14ユーロ/障碍者の方:14ユーロ/子供(11歳以下):無料
※毎週月曜日は10ユーロ(約1,200円)
※ガイドツアーに参加する場合はプラスで4ユーロとなりますが、日本語のガイドツアー はありませんので自由見学が基本になります。
営業時間:
【10月1日〜3月31日】:
月曜日:10時00分〜15時00分
火曜日~日曜日:10時00分〜19時00分
【4月1日〜9月30日】:
月曜日~日曜日:10時00分〜20時00分
※最終入場は営業時間の1時間20分前までになります。
休館日:1月6日・1月13日〜19日・12月25日、
公式サイト:https://casavicens.org/
※記事内容は執筆時点のものですので、最新の内容をご確認ください。
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